Bericht

2015/07/31 | ニュース

Ellen Vogt氏のご冥福をお祈りします。

会場警備を統括してきたVogt氏が59歳で他界。

フォルトゥナは、長年に渡りフォルトゥナの試合会場での警備を統括してきた故Ellen Vogt氏(享年59歳)のご逝去の報に接し、ご家族や夫Jürgen Vogt氏にお悔やみ申しあげますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

彼女はピッチに立つ存在ではなかった。試合のスポットライトを浴びる場所にはいなかった。選手の交代に関わることも、選手のメンバーを伝えることもなかった。彼女の仕事はそういったことでなかったが、しかしクラブには不可欠な存在だった。彼女は非常に謙虚で、そして慎ましい人柄であり、多くの人に愛された存在であった。

数十年前からフォルトゥナの魅力に惹かれ、フォルトゥナでの会場警備の仕事の始めたVogt氏だったが、当時の警備というものは、勝敗に左右されるファンに対応する仕事として、男性が担うものとされてきた。そんな中で彼女は、多くの同僚や夫であるJürgenらとともに、芸備をまとめる役目を務めてきた。サッカーは長く男性のスポーツとされてきたが、彼女の存在はそれを変える1つの要因になってと言っても過言ではない。女性の仕事に対して、様々なディスカッションにも参加してきたが、それもすべてはVogt氏の素晴らしい人間性が成せるものだった。

なぜ、彼女はそのような仕事をしてきたのか。どうしてサッカーに関わる仕事を続けてきたのか。女性がなぜ警備の仕事に従事してきたのか。女性がそういった組織を統括することが出来るのか。

それらに対しては「クラブを愛しているから。そしてそのために出来るベストなことをしたいから。」というのが彼女らしい。それがVogt氏の考えだった。謙虚に、自惚れることもなく、横暴な態度を取ることもなく、気取った振る舞いも一切ない人柄だった。彼女をスタジアムで見かけた人は、彼女がきびきびと動き回っている様子を覚えているかもしれないが、それは彼女の仕事への誠意の表れであり、すべての状況を把握しながら、適切な指示を出していく彼女の冷静な判断からくるものであった。

もしVogt氏に対する批判が出るようであれば、彼女に関わるすべての人間が、はっきりと「Nein(それは違う)」と言うはずだ。ファンの中には多かれ少なかれ、騒動を起こす者たちもいるが、彼らは必ず最後は彼女に屈してきた。それが彼女の魅力であり、意思を貫く強さでもあった。1950年代のHans Grimmsの映画で「„Kleine Frau, ganz groß“(小さな女性だが、偉大な存在だ)」という言葉があるが、それはまさに彼女に相応しい表現と言える。

彼女は非常に献身的であり、彼女が必要とされるところには常に駆けつけてくれた。スタジアムはもちろんのこと、フォルトゥナが必要とすれば、彼女はどこにでも足を運んでくれた。会員総会、特別販売、サイン会にも、常に彼女の姿があった。それはフォルトゥナの良い時期も、そうでないでない時期も、常にだった。彼女は同僚たちと、国際マッチでもアウェーの試合でも、どこにでもその身をフォルトゥナのために運んでくれた。常に分け隔たりなく、冷静で、それでいてとてもユーモアに富んだ彼女は、情熱的でそして知的な存在であり、それはフォルトゥナにとって誰とも比べることが出来ない、唯一無二の存在だったことは間違いない。

フォルトゥナはこれまでも、そしてこれからも、ファンや選手、監督らチームスタッフ、そしてクラブスタッフだけで構成されているわけではない。フォルトゥナの”赤x白”とは「ファミリー」という意味だと、Vogt氏は常に言っていた。

 

Ellen Vogt氏は08月10日に、新たな誕生日を迎えることになっていた。きっと彼女のことを愛する多くの人たちが、彼女のバースデーを祝うために準備をしていたに違いない。

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