「今まで経験した中で最高のフィナーレだった」
ブンデスリーガ1部昇格を果たした2012年を振り返る
2020/21シーズン、フォルトゥナは再びブンデスリーガ2部でプレーすることになる。そこで、Hertha BSCとの入れ替え戦を制し、劇的なブンデスリーガ1部昇格を果たした2020/21シーズンを振り返ってみることにする。なお、ブンデスリーガ1部へ復帰するまでに15年という年月を要したフォルトゥナは、その間にオーバーリーガ(当時4部リーグ相当)でのシーズンも経験している。
2010/11シーズンに7位と堅実な成績を収めたフォルトゥナは、2011/12シーズンの2部リーグで猛烈なプレーを見せつける。Norbert Meier元監督率いるフォルトゥナは、第17節を終えた時点ですでに勝ち点41ポイントを獲得しており、優勝候補であったEintracht Frankfurt(勝ち点40ポイント)を抑え、第21節までは単独首位をキープしていた。シーズン後半戦の途中には5位まで転落したフォルトゥナだったが、最終的にはリーグ3位という結果となり、入れ替え戦への出場権を獲得することに成功した。こうして迎えたHertha BSC戦で、ドラマチックな出来事が起こる。
ファーストレグ
アウェーのBerliner Olympiastadionにて、6万8千人の観客を前に行われたファーストレグで、Andreas ”Lumpi” LambertzやJens Langenekeなどのクラブのレジェンドを擁するフォルトゥナは、1部昇格に向けて非常に良いスタートを切る。試合は19分、Roman Hubníkにゴールネットを揺らされ先制点を奪われるも、Thomas Brökerの得点(64分)とAdrián Ramosのオウンゴール(71分)により、フォルトゥナが2-1で勝利を収め有利な状況でセカンドレグに突入することに。
セカンドレグでの完璧なスタート
ファーストレグの5日後、ホームのアリーナでセカンドレグが行われた。ARDのコメンテーターを務めるTom Bartels氏は、フォルトゥナの選手たちが非常に緊張している様子であると述べていた。しかし試合開始直後の1分、Maximilian Beisterが見事なロングシュートでフォルトゥナに先制点をもたらした瞬間、その発言の取り消しを余儀なくされた。Andreas ”Lumpi” Lambertzは、「試合開始30秒でMaxi Beisterが得点を挙げたとき、我々はこの試合をものにできると確信していた」と当時の気持ちを述べている。また、Änis Ben-Hatiraにゴールを奪われ試合を振り出しに戻されるも、フォルトゥナは冷静さを失わなず、59分にはアタッカーのRanisav Jovanovicからの絶妙なセンタリングに、Thomas Brökerが頭で合わせベルリンのゴールネットを揺らした。
15年後となる1部復帰
試合終了間際に、サッカーの歴史に刻まれることになる出来事が起こることに。まず、Raffaelが85分に2-2の同点打を挙げると、試合終了のホイッスルを待ちわびていた数多くのフォルトゥナファンが、ロスタイムに吹かれたホイッスルに勘違いし、ピッチへと駆け出してしまう。これに対して”Lumpi”は、「我々選手たちも、試合終了のホイッスルだと思いました」とコメントしている。そして、ファンが再び席に着いた後、試合が続行され、本当の試合終了を迎えた。すると喜びを爆発させた何千人ものフォルトゥナファンがピッチに入り込み、今度はチームと共に喜びを分かち合った。こうして、15年間に渡る破天荒な期間を経て、フォルトゥナはブンデスリーガ1部への復帰を成し遂げた。”Lumpi”は、「今まで経験した中で最高のフィナーレでした」と総括した。そして、2020/21シーズンではどんなストーリーを描くことになるのかは、まだ誰にもわからない。